自賠責保険の後遺障害等級認定や支払いに関する判断に納得できない場合、「異議申立て」のほかに、第三者機関である「自賠責保険・共済紛争処理機構(紛争処理機構)」への紛争処理申請という手段があります。無料で利用でき、公正・中立な立場からの再検討が受けられます。仕組みと活用のポイントを解説します。
自賠責保険・共済紛争処理機構とは
一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構は、自賠責保険(共済)の支払いをめぐる紛争を解決するために国から指定を受けた紛争処理機関です。弁護士・医師・学識経験者で構成される紛争処理委員が、書面審理により調停を行います。利用は無料です。
対象となる紛争
- 後遺障害等級の認定結果に関する不服
- 有無責の判断(もらい事故での無責判断など)
- 重過失減額の適用に関する不服
- 支払額・支払否認に関する紛争
異議申立てとの違い
「異議申立て」は、当初の認定を行った損害保険料率算出機構(自賠責損害調査事務所)による再審査であり、回数制限なく申し立てられます。これに対し、紛争処理機構は認定機関から独立した第三者機関による調停で、同一の紛争については原則1回しか申請できません。
- 異議申立て:同じ機関による再審査/回数制限なし/新たな医学的資料の追加が重要
- 紛争処理機構:第三者機関による審理/原則1回のみ/既存資料を第三者の目で見直してもらえる
手続きの流れ
- 紛争処理申請書に必要事項を記入し、認定票・後遺障害診断書等の資料を添えて申請する
- 機構による受理審査(対象となる紛争かの確認)
- 紛争処理委員による書面審理・調停
- 調停結果の通知(申請から数か月程度が目安)
活用のポイント・注意点
- 原則1回しか申請できないため、提出資料を尽くしてから申請する
- 新しい資料がなくても、第三者の視点で判断が見直される可能性がある
- 異議申立てを先に行い、それでも結果が変わらない場合の次の一手として使うのが一般的
- 調停結果にも納得できない場合は、訴訟で争うことができる
弁護士に依頼するメリット
紛争処理機構は書面審理のため、認定が覆るかどうかは申請書と添付資料の説得力にかかっています。弁護士が認定票を分析して争点を絞り、医学的資料と法的主張を整理して申請することで、等級変更の可能性を高めることができます。当事務所では、異議申立て・紛争処理申請・訴訟のどの手段が適切かの見極めからサポートします。
よくあるご質問
Q. 異議申立てと紛争処理申請はどちらを先にすべきですか?
一般的には、回数制限のない異議申立てで新たな医学的資料を提出して争い、それでも結果が変わらない場合に紛争処理機構へ申請する流れをおすすめします。事案によって最適な順序は異なりますので、ご相談ください。
Q. 紛争処理機構への申請に費用はかかりますか?
申請自体は無料です。診断書等の資料取得費用は自己負担となります。
Q. 調停結果で等級が下がることはありますか?
調停の結果、当初の認定より不利な判断となる可能性もゼロではありません。申請前に見通しを検討することが重要です。
※ 本コラムは一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。具体的なご状況については弁護士にご相談ください(交通事故のご相談は無料です)。