相手方の保険会社と示談交渉を続けても、提示額に納得できず話がまとまらない――そのようなとき、訴訟(裁判)のほかに「交通事故紛争処理センター」という中立の紛争解決機関(ADR)を利用する方法があります。無料で利用でき、名古屋にも相談所があります。仕組みと流れ、活用のポイントを解説します。
交通事故紛争処理センターとは
公益財団法人交通事故紛争処理センター(交紛センター)は、交通事故の損害賠償をめぐる紛争について、中立の立場の弁護士(嘱託弁護士)が和解のあっせんを行う機関です。全国に相談所があり、利用料は無料です。あっせんでは、おおむね裁判基準(弁護士基準)に沿った水準で和解案が検討されるため、保険会社の提示額から増額される例が多くあります。
利用できるケース・できないケース
- 利用できる:相手方が任意保険(対人・対物)に加入している人身事故・物損事故の賠償紛争
- 共済(一部)の場合は取扱いに制限があるため、事前確認が必要
- 加害者本人(無保険)との紛争は、相手方の同意がなければ進められない
- 自転車同士・自転車対歩行者の事故は原則として対象外
手続きの流れ
- 電話等で利用申込みをし、相談期日が指定される
- 担当弁護士を交えた面談(あっせん)を数回行う(1回30分〜1時間程度)
- 双方が合意できれば示談成立(免責証書等の取り交わし)
- あっせんが不調の場合は「審査会」に審査を申し立てられる
審査会の裁定には、保険会社側だけが拘束される片面的拘束力があります。被害者側は裁定に納得できなければ拒否して訴訟に進むことができ、被害者に有利な設計になっています。
メリット
- 利用料が無料(弁護士に依頼する場合の弁護士費用は別途)
- 訴訟より短期間で解決しやすい(申込みから数か月程度が目安)
- 裁判基準に近い水準での解決が期待できる
- 審査会の裁定は保険会社側を拘束するため、実効性が高い
注意点
- 過失割合や後遺障害の有無・程度など、争点が大きい事案は書面中心の審理では不利になることがある
- 主張や資料の提出は自分で行う必要があり、準備の質が結果を左右する
- あっせん案に安易に応じる前に、金額が適正か確認することが大切
弁護士に依頼するメリット
紛争処理センターはご本人でも利用できますが、損害額の計算(慰謝料・逸失利益等)や過失割合の主張立証には専門知識が必要です。弁護士が代理人として関与することで、裁判基準での適正な損害額を主張し、あっせん案の妥当性をその場で判断できます。当事務所では、示談交渉から紛争処理センターの利用、訴訟まで、事案に応じた最適な解決手段をご提案します。
よくあるご質問
Q. 費用はかかりますか?
センターの利用料は無料です。交通費や資料の取得費用など実費はご負担いただくことになります。弁護士費用特約があれば、弁護士に依頼する費用も原則自己負担なしでまかなえます。
Q. どのくらいの期間で解決しますか?
事案によりますが、申込みからおおむね3〜6か月程度で解決に至る例が多く、訴訟に比べて短期間です。
Q. 弁護士に依頼せず自分で利用できますか?
可能です。ただし、損害額の計算や資料の準備が結果を大きく左右するため、少なくとも利用前に一度弁護士に相談し、見通しを確認することをおすすめします。